ベースの発現
pETシステム(その2)


 というのが一応の理論だが、実際にはIPTG非存在下でも目的遺伝子が少量発現し
ている。その理由は大きく2つある。

  1.lacUV5オペレータにlacIリプレッサーが効かずT7 RNAポリメラーゼが存在
  2.pETプラスミドのT7 RNAプロモータに対し大腸菌由来RNAポリメラーゼが働く

 1の少量T7 RNAポリメラーゼが存在することに対処する方法としては、宿主大腸菌
へpLysEやpLysSを形質転換する方法がある。
 このpLysEやpLysSはT7リゾチームをコードしている。T7リゾチームは細菌細胞壁の
ペプチドグリカンを分解、細菌を溶菌に導く活性と、T7 RNAポリメラーゼに結合する
活性を持つ。後者の結合活性により細胞内に少量存在するT7 RNAポリメラーゼによる
転写を抑制する。なお、T7リゾチームは細胞外には分泌されないため細胞壁は分解さ
れない。

 2の大腸菌由来のRNAポリメラーゼによる転写活性が生じる問題はlacオペレータを
挿入したT7lacプロモータプラスミドを使うことで対処することが出来る。
 lacオペレータが入っていることでIPTG非存在下ではそこにlacIが結合、T7プロモー
タからの転写が抑制される。細胞に対し強い毒性があるタンパク質を発現させたい場
合はpLysSが入っている宿主にT7lacプロモータのプラスミドを使うといい。

        T7 promoter  lac operator   TargetProtein'sGene
    +--|===========|-|===========|-|===================|--+
    |                                                     |
    |                    【pETプラスミド】                |
    |                                       Amp耐性       |
    +--------------------------------------|=======|------+



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