特殊な酸素分子によるDNA損傷修復

 singlet oxygen(1O2)により、G:C->T:A transversionが多く発生する。 これは8-oxoguanineによるものと考えられる。また、1O2によりG:C->C:G transversionも生じるが、この原因は不明だ。この変異はMutY、MutM欠損株に多いことが知られて いる。また、MutY、MutM欠損株にγ線照射をするとG:C->C:Gが増加することも知られている。これ らの場合、G:OGにMutYが作用しGを除去することによりG:C->C:Gが減少すると考えられている。しか し、8-OGと対を形成する塩基はA、CでありG:OGの形成はあってもまれである。G:GOの形成機構として は8-OGの酸化産物guanidinohydantoinによるものが挙げられる。
 今回の結果ではMutMとMutYの欠損株よりも、MutY、MutM、UvrCの3つを欠損している株の方が G:C->C:Gが少なかった。また、この差異は傷害部位の位置によっても数倍異なっていた。UvrABC 修復系はヌクレオチド除去修復(nucleotide exision repair, NER)に関係する酵素であり、これ が8-OGを除去することにより変異が増加していると考えられる。


菌株遺伝子型G->T(%)G->C(%)
AB1157WT0.30.15
BW9109Δxth0.270.05
BH20Δfpg1.10.1
AYM84ΔfpgmutYuvrC,1.10.66
AYM57ΔfpgmutY1.81.1


 WT ; Wild Type, 野生型(変異なし)
 fpg ; mutM
 xth ; exonuclease III


1O2処理法
 1O2処理にはNDPO2を用いた。50mM NDPO2とDNAを 1時間、37℃でincubateした。NDPO2は熱分解によりNDP(3,3'-(1,4-naphthylidene) dipropionate) と1O2に分解される。1O2の生成はNDPにより定量した。


≪文献≫
Nucleic Acids Research, 2001, Vol.29, No.13 2899-2903
DNA repair and sequence context affect 1O2-induced mutagenesis in bacteria
L. F. Agnez-Lima, R. L. Napolitano, R. P. P. Fuchs, P. Di Mascio, A. R. Muotri, C. F. M. Menck

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