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« MutYのglycosylase活性にLys142は不必要 | メイン | MutYによるDNAのGC->CG変異抑制 »

MutS過剰発現によるG:C->T:A変異抑制




 MutSは2量体(homodimer)でミスマッチ塩基対、バルジループ、傷害塩基に結合し メチル基依存的DNA修復を誘導する。また、MutSはメチル基非依存的なvery-short-patch repairをも担っていると考えられている。
 MutSの発現は定常期に減少する方向に制御されている。この制御はmRNAの安定性に より行なわれている。RNAシャペロンであるHfqがmutSの転写を不安定にしてい る。定常期に発現量が減少することはDNAの複製と同期していると考えられている。ま た、MutSの減少により定常期における突然変異率の上昇、相同的組換えの増加などが 考えられる。
 MutS修復系はA:OGをin vivoで認識し修復する。Saccharomyces cerevisiaeの MutSホモログ(heterodimer)はin vitroでA:OGと結合することが確認されている。し かし、E. coliのMutSはin vitroでも結合が確認されていない。

 定常期、増殖期どちらにおいてもWT>MutL過剰>MutS過剰の順でG:C->T:Aが多く見 られた。MutY欠損株はWTよりも変異率が高かったが、MutS過剰により変異率はWT並に 減少した。どうようのことはMutM欠損株でも確認できた。MutS、MutL欠損株はどちら もWTよりも変異率が高かった。

 MutT欠損株においてMutS過剰発現株によるA:T->C:Gの減少は見られなかった。これ はMutS修復系がメチル基により新規重合鎖を認識することに起因する。MutM、MutYの 修復系はA:OGを修復する。このAは新規重合鎖側に存在する。そのため、MutS系による 変異の減少が見られたと考えられる。しかし、MutTは8-oxodGTPがAと対を形成するこ とを抑制する修復系であり、OGが新規重合鎖側となる。そのためMutSによる変異の減 少が起きなかったと思われる。


WTと比較したときの定常期と増幅期でのG:C->T:A変異率の減少割合
MutL過剰MutS過剰
定常期1.64.3
増殖期1.42.9

定常期におけるMutY欠損株とG:C->T:A変異
WTMutL過剰MutS過剰
MutY2.51.70.8
MutY欠損9.5102.8
※文献のグラフから読み取った値を示す

定常期におけるMutY欠損株とG:C->T:A変異
WTMutL欠損MutS欠損
2.35.15.1
※文献のグラフから読み取った値を示す


≪文献≫
Journal of Bacteriology, 2000, Vol.182, No.17 5025-5028
Reduction of GC->TA Transversion Mutation by Overexpression of MutS in Esherichia coli K-12
Jingyong Zhao, Malcolm E. Winkler








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