γ線による突然変異誘発とMutM、MutY

 γ線はΔFpgでG:C->T:A transversionを誘発することが以前から知られている。しかし この変異は偶発的な突然変異に対してはあまり影響が見られない。このことから、ほかの 修復系が存在すると考えられている。しかし、その修復系はγ線のように損傷が多い場合 には完全に修復しきれないと思われる。
 今回の報告ではFpgとMutYの欠損株に対する変異を調べた。

 G:C->A:Tが多い原因としてFpgが基質とするcytosineのdeaminationが知られている。 しかしながら、fpg-mutY-においてこの変異が多いものの 、fpg-では少ないことから、cytosineのdeaminationはあまり関係が ないと考えられる。MutYがこの修復に効いていると思われるが、その修復機能は不明だ。

 G:C->G:Cの原因は8-OGがGとも対を形成できるという報告と対応している。MutYはこの 傷害を修復する機能を有するのでfpg-mutY-で変異が増え ている。

 frameshiftの原因も8-OGと考えられる。全てのframeshiftが1塩基の欠失に基づいており、 fpg-mutY-がDNA中に取り込まれてた8-OGを修復できないた めに起こると思われる。


偶発による突然変異
GC->ATGC->TAGC->CGAT->CGAT->GCAT->TAframeshift
fpg-mutY-14×10-534×10-51.2×10-5-1.2×10-50.6×10-54.8×10-5
fpg-5.9×10-54.0×10-51.5×10-50.5×10-52.6×10-5-1.4×10-5
WT7.3×10-5---3.1×10-50.4×10-51.5×10-5

γ線照射による突然変異
GC->ATGC->TAGC->CGAT->CGAT->GCAT->TAframeshift
fpg-mutY-3.2×10-449×10-43.2×10-40.5×10-40.5×10-4-1.8×10-4
fpg-mutY-2.6×10-47.8×10-41.0×10-40.1×10-40.2×10-40.1×10-40.7×10-4
WT4.1×10-42.6×10-40.5×10-4-0.3×10-4-0.2×10-4


≪文献≫
Mutation Research, 2000, Vol.461 189-195
The influence of combined Fpg- and MutY-deficiency on the spontaneous and γ-radiation-induced mutation spectrum in the lacZα gene of M13mp10
Gitta K. Kuipers, Ben J. Slotman, Hester A. Poldervaart, Carola A. Reitsma-ZWijker, M. Vincent M. Lafleur

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