MutYの反応はC1'が求核攻撃されることによりAPサイトが生成される。このときの求核剤
として活性化された水分子もしくはアミン以外の残基が関与する場合とアミン系の残基が
働く場合が考えられる。どちらの場合にも最終的にはAPサイトが生成される。しかしながら
アミン系残基により反応が進む場合にはSchiff baseが中間体として形成され、NaBH4
などの還元剤によりこの中間体をトラップすることができる。
MutYではNaBH4の存在によりSchiff baseがトラップできる。このC1'求核攻撃 に関与するLys残基を同定するため変異体K16A、K132A、K142A、K157G、K158Aを作成し実験を 行なった。
[MutY]>[DNA]というsingle turnover条件下では1分以内に反応が完全に終了した。反応生 成物をホット・アルカリ処理をせずに電気泳動するとプロダクトは5%以下しか観察できない。 しかしホット・アルカリ処理をすることで約100%の反応物がWTでも全ての変異体でも見られ た。このことから変異体もWTと同じ反応機構によると考えられる。さらにpH5~9の範囲で1分 以内に反応が終了したことから、変異による触媒残基のpKa変化もないと考えられる。またA: OG基質だけでなくA:G基質においても同様の結果が得られた。
[MutY]<[DNA]というmultiple turnover条件下でWTの反応は2フェーズ見られる。指数的に 反応するinitial burst、その後にゆっくりと直線的に進むsteady-stateフェーズの2つであ る。このような遅いturnoverは生成物の解離が律速になっていることによる。
preparationを変えて調べたところ、これらの変異体MutYの活性型酵素濃度は24~82%だっ た。
変異体のin vivoでの影響を調べるためmutM、mutYの欠損株を用いリファン ピシン耐性の復帰検定を行なった。その結果、WTも変異体もDNAの突然変異を抑制する働きが あることが分かった。
N-glycosylic bondが切断されない基質アナログである2'-deoxyformycin A(F)を用いF:OG 基質との解離定数Kdを求めた。その結果、K157GおよびK158A以外ではWTと変化はなかったが、 この2変異体では著しく大きいKdが見られた。このことからこれらのLysはDNAとの静電的相互作 用をしていると考えられる。実際X線結晶構造解析からこれらのLysがgrooveで相互作用してい ることが示されている。
NaBH4によるSchiff baseのトラップを行なった。その結果、K142A以外のWTや 変異体ではSchiff baseが40~66%トラップできた。K142Aでは2%以下であった。
K142は還元環境下Schiff baseの形成に関わる残基である。しかし、K142AはA:OGおよびA:G のどちらに対してもWTと同じような活性と結合能を示す。C:Gに対してはSchiff base形成を 行なわない。加えて基質DNAと高い結合能を示す触媒残基の変異体D138NもまたSchiff baseを 形成しない。さらにAP:OGに対してもSchiff baseの形成が確認されており、A:OGと比べ2倍低 いだけのトラップが得られる。
MutYの反応機構としてはC1'を攻撃する求核剤として水分子が働く場合とアミン系残基が働 く場合とが考えられる。Schiff baseの形成に関わるK142の変異体がglycosylse活性に対し影 響を与えていないことから、前者の水分子が求核剤となることが考えられる。この場合、考え られるのはD138が水分子の活性化を行いAPサイトを生成、APサイトのC1'をK142が求核攻撃し Schiff baseが形成されているという反応機構である。
≪文献≫
Biochemistry, 1999, Vol.38, No.47 15417-15424
Formation of a Schiff Base Intermeiate Is Not Required for the Adenine Glycosylase Activity of Escherichia coli MutY
Scott D. Williams, Sheila S. David
MutYではNaBH4の存在によりSchiff baseがトラップできる。このC1'求核攻撃 に関与するLys残基を同定するため変異体K16A、K132A、K142A、K157G、K158Aを作成し実験を 行なった。
[MutY]>[DNA]というsingle turnover条件下では1分以内に反応が完全に終了した。反応生 成物をホット・アルカリ処理をせずに電気泳動するとプロダクトは5%以下しか観察できない。 しかしホット・アルカリ処理をすることで約100%の反応物がWTでも全ての変異体でも見られ た。このことから変異体もWTと同じ反応機構によると考えられる。さらにpH5~9の範囲で1分 以内に反応が終了したことから、変異による触媒残基のpKa変化もないと考えられる。またA: OG基質だけでなくA:G基質においても同様の結果が得られた。
[MutY]<[DNA]というmultiple turnover条件下でWTの反応は2フェーズ見られる。指数的に 反応するinitial burst、その後にゆっくりと直線的に進むsteady-stateフェーズの2つであ る。このような遅いturnoverは生成物の解離が律速になっていることによる。
preparationを変えて調べたところ、これらの変異体MutYの活性型酵素濃度は24~82%だっ た。
変異体のin vivoでの影響を調べるためmutM、mutYの欠損株を用いリファン ピシン耐性の復帰検定を行なった。その結果、WTも変異体もDNAの突然変異を抑制する働きが あることが分かった。
N-glycosylic bondが切断されない基質アナログである2'-deoxyformycin A(F)を用いF:OG 基質との解離定数Kdを求めた。その結果、K157GおよびK158A以外ではWTと変化はなかったが、 この2変異体では著しく大きいKdが見られた。このことからこれらのLysはDNAとの静電的相互作 用をしていると考えられる。実際X線結晶構造解析からこれらのLysがgrooveで相互作用してい ることが示されている。
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NaBH4によるSchiff baseのトラップを行なった。その結果、K142A以外のWTや 変異体ではSchiff baseが40~66%トラップできた。K142Aでは2%以下であった。
K142は還元環境下Schiff baseの形成に関わる残基である。しかし、K142AはA:OGおよびA:G のどちらに対してもWTと同じような活性と結合能を示す。C:Gに対してはSchiff base形成を 行なわない。加えて基質DNAと高い結合能を示す触媒残基の変異体D138NもまたSchiff baseを 形成しない。さらにAP:OGに対してもSchiff baseの形成が確認されており、A:OGと比べ2倍低 いだけのトラップが得られる。
MutYの反応機構としてはC1'を攻撃する求核剤として水分子が働く場合とアミン系残基が働 く場合とが考えられる。Schiff baseの形成に関わるK142の変異体がglycosylse活性に対し影 響を与えていないことから、前者の水分子が求核剤となることが考えられる。この場合、考え られるのはD138が水分子の活性化を行いAPサイトを生成、APサイトのC1'をK142が求核攻撃し Schiff baseが形成されているという反応機構である。
≪文献≫
Biochemistry, 1999, Vol.38, No.47 15417-15424
Formation of a Schiff Base Intermeiate Is Not Required for the Adenine Glycosylase Activity of Escherichia coli MutY
Scott D. Williams, Sheila S. David







