RIPsはssDNA glycosylase/AP lyase活性を持つ

 ricin、abrin、gelonin、pokeweed antiviral protein(PAP)、trichosanthinなどは ribosome-inactivating proteins(RIPs)として知られている。RIPsはリボゾームによる タンパク質合成を阻害する。その機構は28S rRNAから特異的にadenineを除去することに よる。
 RIPsは2つに分類されている。Class Iは1本鎖で約30kD、Class IIはそれぞれ30kDのペ プチド鎖がジスルフィド結合されている。geloninとPAPはClass I、ricinはClass IIに 属する。geloninはssDNAを基質としZnにより調節されるヌクレアーゼ活性を持つ。PAPsの ヌクレアーゼ活性はZn存在下gelonin>PAP>ricinであった。
 ヌクレアーゼ活性がadenineの除去から始まるのかどうかを調べた。adenineが除去され ることで生じるAPサイトはアルカリ処理で切断できる。このことから主鎖の切断ではなく APサイトを含む中間体が出来ていることが分かった。また、NaBH4により活性 が阻害されることも分かった。このことからAP lyaseによるβ-eliminationが起こる可能 性も示唆される。しかしながらアルカリ処理の結果からlyase活性を有するとしてもその 活性は小さいことが分かった。
 pUC18の切断実験からgeloninとricinは同じ切断パターンを示すことが分かった。それ らの切断位置はadenineに相当していた。長時間反応させるとフラグメント化しアルカリ 処理によるパターンと同一であった。つまりglycosylaseとともにlyase活性を持つことが 分かった。
 RIPsが一価性のglycosylaseであるか、二価性のglycosylase/AP lyaseであるかを調べ た。その結果、pUC18や800mer基質に対してはAP lyase活性を持っていたが、ODNに対して は切断活性を示さなかった。また、ODNに対してNaBH4によるSchiff baseトラ ップもできなかった。
 RIPsはDNAからせ異常な塩基を除去する初めてのglycosylaseである。これは損傷を受け ていないssDNAから特異的にadenineを除去し主鎖を切断するadenine-ssDNA glycosylase/ AP lyaseである。

 今回実験に用いたRIPsは植物由来だが、生体内での役割は分かっていない。adenineの 代謝系に関与していると考えられている。またストレスにより誘導されることから生体内 分子のturnoverに関係するとも考えられている。sugar beetsにおいてウイルスの感染に よりRIPsの発現が誘導されたという報告もある。また抗ガンや抗ウイルス作用を担ってい るとも考えられている。しかしながらその詳細は不明である。


≪文献≫
The Journal of Biological Chemistry, 1998, Vol.273, No.27 17216-17220
A New Class of DNA Glycosylase / Apurinic / Apyrimidinic Lyases That Act on Specific Adenines in Single-stranded DNA
Emmanuelle Nicolas, Joseph M. Beggs, Brett M. Haltiwanger, Theodore F. Taraschi

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