hOGG1のAPE1による活性化機構

 hOGG1は20mM Tris-HCl、100mM NaCl pH7.4で最大活性を示した。また0.15μg/μl BSAに より安定化した。これらの傾向は以前調べられたmOGG1と似ている。

 OG:C基質濃度を振って活性を調べたところ、プロダクトの生成はMichaelis-Mentenの式に 従わず、濃度に対し直線的に活性が増加した。

 酵素濃度に対し10倍のG:C基質、β-elimination産物、APサイトDNAによる活性阻害を調べ たところ、APサイトDNAの存在による阻害が見られた。APサイトDNAによる活性の低下は~4倍 だった。コントロールおよびG:C基質、β-elimination産物の共存下における反応はどれも kcat=0.1min-1だった。

 反応液中にAPE1を加えglycosylase活性を調べたところ、反応が~5倍大きくなった。

 基質大過剰でglycosylase活性を調べたところ、反応初期では見かけのkcat =0.5min-1だった。しかし、その後は5分の1に低下し0.1min-1だ った。対し、OGG1の5倍量APE1を加えた場合は反応初期もその後もkcatに変化 はなく0.5min-1だった。このことから生成物の解離が律速になっていると考え られる。

 ND40 APE1(N末40残基を除去したAPE1)、ND60 APE1(N末60残基を除去したAPE1)、 C65S APE1(Ref-1 redox activityを潰したAPE1)、Nfo(EndonucleaseIV)によっても同 様のOGG1活性化が起きた。
 APE1のAP endonuclease活性を阻害するがDNA結合能はそのままになるEDTAを添加すると OGG1の活性化は起きなかった。しかし、同じ条件下でAPE1を過剰にすると活性化が起きた。

 APE1が存在するとNaBH4によるSchiff baseのトラップが阻害された。その 阻害はOGG1の2分の1量のAPE1により~3倍のトラップ率低下におよぶ。5倍量のAPE1で阻害 率が飽和し4~5倍のトラップ率低下となった。
 OGG1はOG:C基質に対しβ-eliminationを起こすが、APE1の共存により生成物は全て3'-OH となった。EDTAの存在下ではOGG1とAPE1の共存下でもglycosylase以降のDNA鎖切断反応は 起きなかった。

 OGG1とAPE1の共存下ではOG:C基質に対し通常のMichaelis-Menten様の反応を示した。
 OGG1のみでAP:C基質に対しては基質濃度25nMを境に2フェーズ見えた。また、APE1と NfoのどちらもAP:C基質に対してMichaelis-Mentenの式に当てはまらない反応形式を示し た。

 基質反応Kmapp(nM)kcatapp(min-1
OGG1OG:Cglycosylase9.9108
OGG1+APE1OG:Cglycosylase8.9453
OGG1AP:CAP lyase7.253.2
APE1AP:CAP endonuclease13.721671
NfoAP:CAP endonuclease21.21062

 求まったこれらの定数からAPE1はNfoよりもAP:Cに対するkcatが20倍大きく、 OGG1よりも400倍大きいことがわかる。またOG:Cに対するkcatはOGG1のみと比べ 5倍大きくなっていた。


 またゲルシフト法により各基質に対する解離定数Kdを求めた。実験はDNA結合能は有する ものの活性はないOGG1 K249Qを用いた。
各基質DNAに対するKdapp(nM)
 OG:CAP:Cβ-elimination3'-OH
OGG123.42.822320.7
APE11.772.74.3

 これらの定数からOGG1はOG:CよりもAP:Cに対する親和性が大きく、β-elimination産物に 対しては親和性が小さいことがわかった。また、AP:Cに対する親和性はOGG1とAPE1で差がな いもののβ-elimination産物に対してはAPE1の方が親和性が高かった。


 EDTAの存在下でAPE1の活性は阻害されるがOGG1のglycosylase活性はAPE1により2倍大きくな った。しかしEDTA非存在下では5倍大きくなることからOGG1の活性化にはAPE1のendonuclease 活性が必要であることが示唆される。しかしながら活性化にはAPE1の活性よりむしろAPサイト への結合能が重要ということもEDTA存在下では活性化にAPE1が50倍必要であるということから 示唆される。構造的には全く似ていないNfoもまたOGG1を活性化することからOGG1とAPE1が直 接的に相互作用することで活性化しているとは考えにくい。加えてほかのAPE1変異体もWTと同 様の活性化傾向を示した。実験に用いた変異体は活性は持つもののほかの酵素との相互作用部 位が削られているため、APE1とOGG1が直接的に相互作用していないと考えられる。抗体を用い たほかの研究からも同様の結果が得られている。しかしながらこれらの結果は相互作用の可能 性を完全に除外できるわけではない。


≪文献≫
Nucleic Acids Research, 2001, Vol.29, No.2 430-438
Stimulation of human 8-oxoguanine-DNA glycosylase by AP-endonuclease: potential coordination of the initial steps in base excision repair
Jeff W. Hill, Tapas K. Hazra, Tadahide Izumi, Sankar Mitra

カテゴリー「論文紹介」 のエントリー