MutYとKd<1pMで結合する遷移状態アナログ



 DNA glycosylase反応における遷移状態(左上)アナログであるpyrrolidine(右上)は この反応を触媒する塩基除去修復系酵素に対し高い親和性を持つ。しかしながらこのアナ ログは塩基部分が欠失している。そのため塩基部分に対する特異的な相互作用の影響が分 からない。
 今回はこのpyrrolidineを元に塩基を付加したアナログ(右下)を合成した。本来、DNA 中では塩基はdeoxyriboseのC1'に直接付加する。直接付加した場合には反応性が高く、容 易にDNA glycosylase活性が働いてしまう。そのため、今回作成したアナログは塩基とC1' の間に-CH-を挟んだ(左下)。
 付加する塩基にはAdenineを採用し、DNA glycosylaseにはadenine DNA glycosylaseで あるMutYを使った。結果、このアナログと8-oxoguanineのミスマッチを含む25merDNA基質 のMutYに対する解離定数Kdは1pM以下であった。pyrrolidineと8-oxoguanineのミスマッチ の場合はKd=65pMだった。
 また、100倍量の特異的および非特異的競合剤を用いて結合の特異性を調べた結果、MutY と基質DNAとの結合は特異的であることが分かった。
 A:OGミスマッチに対するglycosylase活性もアナログ:OGの存在により大きく阻害された。

≪文献≫
J. Am. Chem. Soc., 1997, Vol.119, No.33 7865-7866
Unusually Strong Binding of a Designed Transition-State Analog to a Base-Excision DNA Repair Protein
Li Deng, Orlando D. Scharer, Gregory L. Verdine

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