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Guanineの反対に取り込まれる2-oxodATPの変異原性




 以下の4種類の酸化型DNA前駆体が知られ、各種transversionを引き起こす。
   8-hydroxydeoxyguanosine 5'-triphosphate(8-oxodGTP)
     G:C→T:A
   2-hydroxydeoxyadenosine 5'-triphosphate(2-oxodATP)
     A:T→C:G
   5-hydroxydeoxycytidine 5'-triphosphate(5-oxodCTP)
     G:C→T:A、A:T→C:G、G:C→A:T
   5-formyldeoxyuridine 5'-triphosphate(5-CHO-dUTP)
     G:C→A:T、A:T→G:C、G:C→T:A
 これらはDNA polymerase IIIによりDNA中に取り込まれる。取り込みは2-oxodATP > 8-oxodGTP >> 5-oxodCTP ~ 5-CHO-dUTPの順に多い。2-oxodATPは2-OA:G対を形成することで G:C→T:A transversionを引き起こす。alkA欠損株で8-oxodGTP、2-oxodATPの mutY欠損株で2-oxodATPによる変異率の上昇が報告されている。この報告は 2-oxodadenineとguanineとが対を形成することを初めて明らかにした。


変異率(×10-3
0.04μM2.0μM20μM
8-oxodGTP4.4±1.814.5±4.3 
2-oxodATP6.5±1.423.2±6.3 
5-oxodCTP 0.2±0.13.7±1.3
5-CHO-dUTP 2.6±1.22.0±1.1
※dNTPのみのコントロールは2.8±0.4

 左の結果から、DNA前駆体として使われる率が2-oxodATP > 8-oxodGTP >> 5-oxodCTP ~ 5-CHO-dUTPのであることが分かる。
 5-oxodCTPがコントロールの値よりも小さくなっている。これはDNA合成が阻害されている ことによる相対的な変異率の減少や、5-hydroxycytosineの存在により修復系が活性化される ことが考えられる。しかしながら、20μMで逆に変異が増加していることに対する説明がつか ない。


変異の内訳
None2.0μM 2-oxodATP2.0μM 8-oxodGTP
C:G→T:A672
G:C→T:A1410
G:C→C:G301
A:T→C:G0012

 2-oxodATPはG:C→T:A transversionを8-oxodGTPはA:T→C:Gを誘発している。これはそれぞ れ、G:OAやA:OGのミスマッチをDNA複製時に形成するためと考えられる。


修復系遺伝子欠損株の突然変異率(×10-3
mutM/mutYmutMmutYalkA
None5.3±1.012.6±3.75.6±1.95.5±1.8
0.04μM 8-oxodGTP5.5±1.814.9±2.55.0±2.010.0±4.0
0.04μM 2-oxodATP11.5±1.217.0±2.813.9±4.315.2±3.1
20μM 5-oxodCTP5.3±1.8NDND4.9±2.0
20μM 5-CHO-dUTP5.4±1.0NDND5.8±3.1

 mutM/mutYおよびmutYは2-oxodATPで、alkAは2-oxodATPと 8-oxodGTPにより変異率の増加が見られた。


 細胞内dGTP濃度はdATP、dCTP、dTTPよりも数倍少ないことが原核および真核生物で報告さ れている。このことはdGTPの酸化物8-oxodGTPによる影響が大きいことを示唆しているのか もしれない。
 この実験では2-oxodATPの方が8-oxodGTPよりも多くの変異を誘発していることが分かった。 このことは2-oxodATPもまた重要であることを示唆している。ヒトのMutTホモログであるMTH1 は8-oxodGTPよりも2-oxodATPを効率よく加水分解することが報告されているが、MutTは2-oxodATP に対する活性はない。このためほかの酵素が2-oxodATPに働いていることが予想される。
 一方、5-oxodCTPや5-CHO-dUTPでは変異率の変化が見られなかった。直接大腸菌にこれらを 導入すると変異が上昇することが報告されている。しかし、これらの加水分解活性は細菌で はあっても極弱いと考えられている。そのため、今回変異の変化が見られなかった理由は不 明である。
 ポリメラーゼの種類により2-OAと対を形成する塩基が異なることが知られている。哺乳類の polymerase αやβではCytosineと、E. coli polymerase IのKlenow Fragmentでは主 にGuanineと対を形成する。今回の実験ではG:C→T:A transversionが上昇したことから、
polymerase IIIでは2-OA:Gの対が形成していたことが考えられる。これらのポリメラーゼ依存 的な取り込まれの差異は2-OAが2-hydroxyと1,2-dihydro-2-oxoの2つのisomerを取ること、DNA 中でantisynの2つのconformationを取ることに起因すると考えられる。
 mutYで2-oxodATPによる変異率が上昇したことから、MutYは2-OAの修復にも関与して いるのかもしれない。逆にmutMで変異率に変化が見られないことから、MutMは8-OG:A や2-OAの修復には関与していないと考えられる。
 alkAで8-oxodGTPおよび2-oxodATPによる変異率の上昇が見られる。AlkA(3-methyladenine glycosylase II)は基質特異性が広いことが知られていることから、これら両方ともに活性 があると考えられる。また、AlkAは5-formyluracilに対する活性が報告されているが、5-CHO-dUTP で変異率の上昇が認められなかった。この原因は不明である。

 今回の研究から、2-oxodATPの変異原性は8-oxodGTPのそれとほとんど同じであり、2-oxodATPase の存在が予想される。反対に5-oxodCTPや5-CHO-UTPは変異原性を持たないことからこれらに対する 加水分解酵素は存在しないかもしれない。


≪文献≫
Nucleic Acids Research, 2000, Vol.28, No.7 1640-1646
2-Hydroxy-dATP is incorporated opposite G by Escherichia coli DNA polymerase III resulting in high mutagenicity
Hiroyuki Kamiya, Hiroshi Kasai








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