熱変性からΔGを計算
温度変化を行ないながらCDを測定することで、あるタンパク質がネイティブ状態から 変性状態になる際のΔG(ギブスの自由エネルギー変化)を求めることが可能だ。
右図の温度変性グラフから20℃付近でネイティブ、80℃付近で変性状態をそれぞれ取 っている(二状態変性)と仮定すると、
[θN]obs = -24.6 [θD]obs = -0.846と読める。[θN]obsと[θD]obsはそ れぞれ、ネイティブおよび変性状態のCD測定値を示す。
ある温度のときにあるタンパク質が取っている構造の割合・・・ネイティブと変 性状態の比([D]/[N])はそのときのCD測定値[θ]obsを用いると
[D] = ([θ]obs - [θN]obs)/([θD]obs - [θN]obs) [N] = ([θD]obs - [θ]obs)/([θD]obs - [θN]obs) よって[D]/[N] = ([θ]obs - [θN]obs)/([θD]obs - [θ]obs) = ([θ]obs+24.6)/(-0.846-[θ]obs)となる。[D]と[N]はそれぞれ全タンパク質量に対する変性状態およびネイティブ状態の 割合を示す。
この変性状態とネイティブ状態の割合を用いるとΔGはΔG = -RTln([D]/[N])と表すことができる。Rは気体定数(= -8.344 J/(K・mol))、Tは絶対温度、 lnはeを底とする対数を示す。この式から、
ΔG = -8.344×T×ln(([θ]obs+24.6)/(-0.846-[θ]obs))となり、温度変性グラフからΔGのグラフに書き換えることができる。
グラフを見ると60℃を境に傾きが変わっていることが分かる。これは先の仮定、二状態変性を
満たさない。しかし、ここでは40~60℃の直線部分を用いΔGのグラフをもう一度描画すると、ΔG = -231.49×(T-273)+16272 [J/mol]という関係を見出すことができる。この式から25℃(T=298K)のときのΔGを計算すると、
ΔG25℃ = -231.49×25+16272 = 10.5 kJ/molとなる。
Tmを計算
また、このグラフからTmを計算することも可能だ。Tmでは[N]と[D]の量比が同じ、すなわち
ΔG = -RTln([D]/[N]) = -RTln(1) = 0の関係が成り立つのでΔG=0となる温度、つまり温度軸との切片を計算すればいい。
0 = -231.49×(T-273)+16272 (T-273)=16272/231.49 =70.3よってTm=70.3℃となる。







